ワークスイーター岩橋健一郎
岩橋健一郎(いわはしけんいちろう、1964年9月4日生まれ)
B.V.Dヤマモトレーシングチーム、後にはanチームブルーフォックスで活躍したオートバイレーサー。
1980年代後半は空前のオートバイブーム。
バイクバブル絶頂期、国内4メーカーがジャブジャブとたくさんのお金をつぎ込んだワークスチームがひしめくTT-F1クラスにおいて、そのワークスマシンを1台、また1台と抜き去っていくライダーがいました。
それが岩橋健一郎選手です。
岩橋健一郎選手について
1985年 レースデビュー(ヤマモトレーシングから参戦)
この年、筑波サーキットの風物詩、B.O.T.T.(バトルオブザツイン)に出走。決勝2位を獲得。
1986年 4月の鈴鹿サンデーロードレース、ヤマモトレーシングから参戦した岩橋選手が優勝!
マシンはホンダのVFR400R。実は、バイク屋さんから買ってきて、マフラーだけ交換。慣らしを兼ねて走らせたバイクでの優勝でした!
さらには同年7月の鈴鹿4時間耐久ロードレースではコースレコードでポールポジション!
HRC(ホンダレーシング)から「NSR250に乗らないか?」とF3クラス参戦に向けてのオファーがあったが断ったそうです。
1987年 国際A級に特別昇格
岩橋選手はヤマモトレーシングからVFR750FでTT-F1クラスに参戦します。
鈴鹿8耐では、リチャード・ムーアと組んで予選は31番手、決勝13位。
1988年 全日本TT-F1クラス ランキング6位 ヤマモトレーシング HONDA VFR750R(RC30)
これは、プライベーター最上位でした。
また、スーパーバイク世界選手権で一躍世界に名を轟かせます。
1989年 全日本TT-F1クラス ランキング5位
スーパーバイク世界選手権で優勝!
全日本国際A級初優勝!
7月の鈴鹿8耐は予選14位、決勝11位
1990年 全日本選手権 TT-F1クラスで全日本チャンピオンに輝きます。
1991年 GP500ccクラスに参戦。HONDA NSR500を任されるようになります。
この年から、ヤマモトレーシングではなくなりますが、以降も日本のトップライダーとして活躍されました。
エピソード1 鈴鹿4時間耐久レース
1986年7月の鈴鹿4時間耐久ロードレース
全国から強豪が集まり、しのぎを削る、若手の登竜門的な位置づけのこのレースで、岩橋健一郎選手の乗るVFR400R(ヤマモトレーシング)は、コースレコードでポールポジションを獲得!
決勝もトップを独走し、このまま優勝か!? と思いきや、終盤、タイヤを使い切り、結果は4位。
しかしこの頃からすでに、岩橋選手+ヤマモトレーシング恐るべしというのが見えてきます。
1986年 鈴鹿4時間耐久 決勝レース結果
優勝:高吉克朗・石上均組(ヨシムラGSX-R400)
2位:江島徹朗・前田忠士組(モリワキCBR400R)
3位:石渡克成・福智学組(SP忠男RC FZR400)
4位:岩橋健一郎・石神克俊組(ヤマモトレーシングVFR400R)
当時の力関係がわかりますね。
鈴鹿4耐、ノービスクラスの祭典ではありますが、もうすでに準ワークスチームたちの戦国時代。
ヨシムラ、モリワキ、SP忠男との戦い。
新型マシン、CBR400RやFZR400との戦い……。
その中で、ポールポジションとトップ独走からの決勝4位は凄いですよね。
エピソード2 TT-F1クラス参戦
1987年 全日本国際A級TT-F1クラス
ヤマモトレーシングから、HONDA VFR750Fで参戦します。
正直、かなり苦戦します。
それはそうです。
勝手な印象ですが、アップハンドルのこのマシンで勝てるのは、ワイン・ガードナーかウェイン・レイニークラスだけなんじゃないかと……。
しかし、シーズン終盤の8月31日、HONDAから、ヤバいマシンが発売されます。
VFR750R(RC30)!!!
あの伝説の、ホンダが造った「勝つためのマシン:RC30」です!
エピソード3 スーパーバイク世界選手権
1988年 スーパーバイク世界選手権の開催初年度
そのスーパーバイク第5戦菅生大会に出場。
TV放映もされたこのレースで大活躍!
岩橋選手の知名度が一気に高まったレースでもありました。
参加選手は、ドゥカティのマルコ・ルッキネリやヤマハFZR750Rのマイケル・ドーソン、ヨシムラスズキGSX-R750のギャリー・グッドフェローやビモータのデビッド・タルドッツィ、ホンダのフレッド・マーケル、バージニオ・フェラーリ、アーロン・スライトなど。
TVでしか見ることの出来ない豪華な顔ぶれでした。
その時の日本からの刺客は、ヤマFZR750Rの町井邦生(まちいくにお)、ヨシムラの大島行弥(おおしまゆきや)など。
世界のスーパースターたち、全日本のトップライダーたちが参加する中、また、雨上がりの難しいコンディションの中で大活躍しました。
町井選手の活躍や、BRAINさんの格子柄のツナギを着た岩橋選手の活躍に心が踊りました。
特に2ヒート目、若き頃のミック・ドゥーハン(当時はマイケル・ドゥーハン)に続く2位でチェッカーを受けるなど、岩橋は速い! と印象づけました。
エピソード4 ワークスイーター
1989年 全日本TT-F1クラス
3月のマレーシアGPスーパーバイクで優勝
4月のスーパーバイク選手権菅生大会で優勝
4月全日本TT-F1雨の鈴鹿大会で全日本国際A級初優勝!
並み居るワークス勢を完全に抑えきった価値ある優勝でした。
7月の鈴鹿8耐は予選14位、決勝11位
また、シーズン終盤の3戦は、ついにHRCのワークスマシンRVFを貸与されるようにまでなりました。
年間の総合ランキングは5位
いよいよチャンピオンが射程距離内に入ってきました。
全日本チャンピオンへの道
1990年全日本選手権での戦績
1990年 全日本選手権 国際A級TT-F1クラス
B.V.D.ヤマモトレーシング(HONDA RVF750)
※このRVFは1989年型のマシンに’90年型のエンジンを積んだものでした。
Round1 鈴鹿 優勝
Round2 鈴鹿 優勝
Round3 鈴鹿 2位
Round4 筑波 優勝
Round5 菅生 2位
Round6 鈴鹿 3位
Round7 菅生 3位
Round8 筑波 リタイヤ
総合結果 チャンピオン
▼▼1990年TT-F1総集編(動画) Part1~7
SpecAのマフラー
【SpecA】ブランドで知られるヤマモトレーシングのマフラーや集合管。
たくさんありますが、例えばこのHONDA CBR250RR用の2本出し!
性能だけではなく、ドレスアップにも効果的。
ヤマモトレーシング SPEC-A S/O TWIN CBR250RR 17-(2BK-MC51)
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非常に詳しい紹介ありがとうございます。
当時の関係者でも、極近い者しか知り得ないエピソードなども書かれていて、驚きました。もしかして面識あったりします?
あら?岩橋健一郎選手ご本人様ですか!!???
光栄です。
私はただのロードレースファンですので、残念ながら面識はございません。。。
いつかお会いできると、大変嬉しく思います。m(_ _)m
はじめまして。
岩橋選手のお知り合いですか?
とても詳しく書かれているので気になって質問してみました(*^^*)
れーちゃんさん
初めまして。
いえいえ、ただのロードレースファンで、知り合いでもなんでもないです。残念ながら。。。(^◇^;)